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beatmaniaⅡDXというゲームについての考察-魅力編-

ここ最近「beatmaniaⅡDX」というゲームにハマっている。

始めたのは半年ほど前の5~6月頃、地元の友人らと別のゲームをプレイしにゲームセンターに入った際、そのゲームが埋まっていて、待ち時間に始めたのがきっかけだった。その日以降、beatmaniaをしにゲーセンに行く機会が増えている。私がbeatmaniaにハマったことで地元の友人の一人もbeatmaniaにハマってくれて、その友人と一緒にゲーセンに行ってプレイすることが多いのもより執心っぷりを加熱させる要因になっている。

今回はそのbeatmaniaⅡDXというゲームについてここ半年で得た考察を魅力編、上達編の2パートに分けて書き綴ろうと思う。今回は魅力編と称して、このゲームは一体何が面白いのかということについて書く。

そもそもbeatmaniaⅡDX とはどんなゲームなのかを説明しておこう。

beatmania_how_to_play_1

図1:beatmaniaⅡDX の筐体

beatmania_how_to_play_2

図2:beatmaniaⅡDXのプレイ画面

図1では色々なボタンの説明があるが、基本的には図1の白い鍵盤が図2の白い音符、図1の黒い鍵盤が図2の青い音符、図1のターンテーブルが赤い音符に対応しており、図2の下にある赤い線と音符が丁度重なる瞬間に押せると高い評価をもらえる、という至ってシンプルなゲームだ。

音符は流れてくる音楽に合わせてリズムよく落ちてくる上、鍵盤を押すとその鍵盤に対応した音が鳴るため、上級者のプレイはさながらサントラのような綺麗な音楽になるし、田口のような初心者のプレイングではリズムが合ってない音符が多く、聞いててぎこちない音楽となる。

では、このゲームの何が魅力なのか。個人的には以下の3つが挙げられると考えている。

1.大衆音楽とは違う音楽に触れることができる

上達のための一つの方法として、課題曲を聴き込む、という方法がある。全く聞いたことない曲よりも何度も聞いた曲の方がリズムが取りやすいのは当然のことだろう。しかしそこで障壁となるのが、beatmaniaでは大衆音楽が全くと言っていいほど収録されておらず、KONAMIの音ゲーでしか聞く機会のないような曲ばかりが収録されている。

はじめはもっと色んな曲を収録してくれれば良いのに、と思っていたが、beatmaniaのサントラを聴き込むうちに、大衆音楽には馴染みの薄いようなエッジの利いたアレンジの曲が多く、そのアレンジがゲームの譜面となってプレイヤーを楽しませているということに気づき、今ではすっかりbeatmaniaのサントラをヘビロテするほどになっている。

2.演奏の評価が詳細に出るので成長を実感できる

今までクリアできなかった曲ができるようになったり、コンボが繋がらなかった曲がフルコンボできたりするのは単純に嬉しいし成長を実感できる。

今まで散々続けてきたバドミントンや将棋では1時間くらい練習したところで自身の成長を実感することなんてまずないが、beatmaniaは1時間でも今までクリア出来なかった曲ができるようになるとか演奏の評価が最高でCだったのがBに上がったりなどすぐに成長を実感できる。将棋と違って音ゲーのような分野は自分には才能がないと思っているので酷い結果でもあまり落ち込まなくても良い点も気楽にできるポイントだ。

3.楽器の演奏に似た楽しさを得ることができる

なんだかんだ言ってもこれが一番の魅力である。

当団体のメンバーは育ちが良い人が多いこともあってかピアノなどの楽器経験者が多いが、私はそうではないので楽器への憧れがあるが、お手軽に演奏の楽しさを感じられるのがbeatmaniaの最大の魅力だと考えている。

そんなに楽器を演奏したいならピアノ習えばいいじゃないか、と思われるかもしれないが都内でのピアノのレッスン料は1時間で5,000円くらいが相場なのに対しbeatmaniaならば1時間で1,000円もしないくらいで楽しむことができる。経済的でもあるのだ。

ピアノは習い事として優秀で、どうやら脳に良い影響を与えるらしいことが知られている。そのため高学歴者にピアノ経験者が多いことはもちろん、3~4歳にピアノを習った場合、ピアノのレッスン料を投資額として考えた場合、その60~200倍になって社会に還元されるというデータもあるそうだ(※1)。

beatmaniaⅡDXもピアノ同様、両手の指先を器用に動かし楽譜を演奏している先の部分までしっかり把握しなければならないことを考えると、脳にピアノに似た学習効果を与えることができるのではないかと考えている。

 

以上が約半年プレイした段階で田口が考えているbeatmaniaⅡDXの魅力だ。次回の投稿ではこの半年で上達するために田口が行った練習方法や、意識の変え方などを紹介する。

※1 中室牧子 「『学力』の経済学」にこのような内容が書いてあるらしい。私がこの内容を知ったのは別の文献だったが、どの文献だったかを失念。

将棋に対する新たなアプローチ

11月の松濤中学校の体育館の抽選会は最悪のものでした。

23日(南区団体戦の日)をうっかり取ってしまった(しかも2巡目に!)ので、3巡目の前に慌てて取り消し、3巡目に取ったのが3日(合宿日)という…

ちゃんとやれば谷津希望の16日も取れましたし、月の練習日も4回取れました。反省しかないです。

 

ということで将棋の話をします。

 

最近ではソフトで研究するアマチュアが増えてきています。

私もその一人ですが、ソフトによって棋風が変化するのに際して、どうしても今までと終盤が違った形になってくるので今までと同じ塩梅にはならなくなってしまい、レートが落ちてしまっています。

具体的にどう違ってくるのかというと、今まではアマチュアもプロの棋譜をパクる将棋が大半だったので、プロの棋譜に出てくる終盤の手を覚えていれば大して読まなくてもそれなりに好手、という場合が多かったです。

が、ソフトの序中盤をパクろうとすると、ソフト同士の棋譜だと序中盤の感覚が人間とかなり違う場合が多く、このレベルでのプレイヤー同士での対局において終盤までの再現度が低いことや、優勢になったところで保険をかけた指し方をしないため一手のミスも許されない勝ち方を平気でする特徴があり、参考になりにくい、という欠点があります。

とはいえ、最近はソフトの序中盤を取り入れたプロ棋士も多く、私自身もソフトの感覚を取り入れた新しい棋風を是非とも身につけたいと考えています。

そこで、とにかくソフトの手を書いて書いて書きまくるという方法で棋風改造を図ろうと思いつきました。

shogi

shogi_note

図1:shogi.xlsx の1ページ

現在は作り始めて10日程度で、戦法も角換わりと横歩取りしかないですが、今後は対抗形や相掛かりの将棋のページも作っていければと思っています。

この試みを「面白い私も参加したい!」と言ってくださる方、大歓迎です!

是非とも一緒に将棋の研究をしませんか?

数字でわかるサーブの重要性

まずは下の表1,表2を見てもらいたい。

score_distribution_1

表1:全く互角の相手との点数分布

score_distribution_2

表2:1点ハンデ(≒サーブミス)を与えた時の点数分布

表1では全く同じ得点力を持つ(得点する確率が同じ)相手同士で21点マッチを行った場合の点数分布である。

表2では全く同じ得点力を持つ相手に1点ハンデを与えた時の点数分布である。

当たり前の話だが、全く同じ得点力を持つ物同士で対戦を行ったら21点マッチの勝負でも勝率は50%である。

ところが、1点ハンデを与えただけで勝率は43.7%まで下がる。50%→43.7%なので実に12.6%勝率が下がることになる。(余談だが、6.3%ではないことに注意。「50%から43.7%まで6.3『ポイント』下がる」という言い方なら正しい)

ダブルスの場合、1セットあたりペア合計で21回サーブを打たないと勝てないため一人あたり10回程度サーブ機会が回ってくることになる。そこで一人のプレイヤーのサーブ成功率が80%の場合、10回中2回サーブをミスすることになる。つまり2点も相手にハンデを与えていることになるのだ。

一方、サーブ成功率が90%まで上がったらどうだろう。サーブミスが10回のサーブ機会のうち1回になるので与えるハンデが1点減る。つまり「サーブ成功率が10%上がれば勝率も10%上がる」ということである。格言として是非海城バド部の部訓にしてほしい。

まして、サーブの精度によってサーブのラリーの優劣も決まることが多いことを考えるとサーブの優劣で試合の勝敗が決まっている試合も少なくないのである。

今回は数字を用いてサービスの重要性を説明した。次回は配球の話をしようと思う。

初心者向けラケット紹介

参考資料:

http://www.kumpoo-sports.co.jp/z_column/choice.html

今回はラケットの選び方について多少解説し、オススメの3本を紹介する。

前回のガット編でも述べたが、柔らかい方がしなって飛びやすく、固いと飛びにくくなる。これはガットでもラケットのシャフトでも同じことが言える。固いラケットで打ち続けるのは、当然怪我のリスクが高まる。

よって、シャフトは柔らかい方が良いことは賢明な諸君ならもうお分かりだろう。

また、重いラケットよりは軽いラケットの方が振りやすい。私も昔は2Uのラケットを使っていたが、ダブルスなどで速いラリーになったときに軽いラケットの方がシャトルをコントロールしやすい。今では4Uのラケットを愛用している。

つまり、ラケットは軽くてシャフトが柔らかいものを積極的に選ぶべきだ。憧れの選手のモデルを使いたいのであれば、日々トレーニングに勤しみ、屈強な体をつくり上げる必要がある。

以上を踏まえ、私の調べた範囲でのオススメの3本を紹介する。

ラケット名にリンクを貼ったので、気になったらリンク先を見て欲しい。

① VOLTRIC30

安心安全のYONEXブランドに加え、5U+シャフトかなり柔らかめというこれぞ初心者向けというラケットで、個人的には一押しだ。

② NANORAY250

VOLTRIC30に比べシャフトの柔らかさはほぼ差がないが、重さが4Uとこちらの方が重い。しかし、VOLTRIC30はややヘッドヘビー(重心が手元から離れている)のに対し、NANORAY250はややヘッドライト(重心が手元に近い)ので振りやすさはほとんど差がないのではないかと思う。

③ APACS FEATHER Weight 55

YONEXは他社に比べて、製品の種類の豊富さもあってか初心者向けのラケットが充実しているように思う。とりあえず始めたばかりのうちはYONEXの初心者向けラケットを使うのが無難かなと思う。

が、周りと同じじゃ満足できない、GOSEN、Prince、BridgeStoneとマイナー路線をひた走り続ける田口みたいな初心者もきっといることだろう。

そこで紹介するのが「APACS FEATHER Weight 55」だ。

APACSというのはイギリスのメーカーなのだが、イギリス製のラケットでとにかく軽いものが次々に出てきている。その中でもこのラケットは特に軽く、重さはなんと8U(58±2g)だ!4Uのラケットが83g前後であることをほぼ2/3の重さということになる。

しかもシャフトが柔らかめなので、性能を見る限りでは素晴らしいラケットだと言える。

ただ、普通のラケットショップで売られてはいないため、購入する際はネット通販を利用することになるだろう。また、こんなに軽くて強度面は大丈夫なのかという不安もあるが、周りに使っている人を見たことがないので保証しかねる。

もしこのラケットを使う機会が有った人には、その使用感を是非とも聞かせて欲しい、よろしく頼む。

ガットの適正テンションを考える(高校生向け)

参考資料:http://www.kumpoo-sports.co.jp/z_column/gut.html

 

私も高校の部活を引退し、OBになってから早幾年。

数多くの後輩が海城バド部を巣立っていったことを思うと、感慨深いものがある。

今後、当ブログでは高校生に伝えておきたいバドミントンの知識について数回に分けて話をしようと思う。今回はガットのテンション編だ。

高校生にガットのテンションを聞くと20台中盤という返答を得ることが多い。私自身、高校生の頃は闇雲にガットを固く張って上級者になった気分を味わっていたので、固く張りたくなる心理は痛いほど分かる。

が、冒頭に上げた参考資料にもあるようにガットのテンションを高くすることには多くの弊害を伴う。個人的には怪我しやすくなるというのが最大の弊害だと思う。実際、高校生の頃、私は肩の痛みに悩まされることが多く整骨院に通うことが多かった。

私見だが、今年の合宿で海城のレギュラーと打って、スマッシュレシーブがコート奥まで安定して返せる部員がほぼいなかった事を考えると、今の現役高校生はガットのテンションを落とすメリットの方が多いと思われる。どうしてもテンション下げたくなかったら、しっかりと筋トレして固いガットにも対応できる体を作る必要がある。

当ブログで、スイングスピードの具体的な速度と適正テンションを物理的に考えたかったものの、どうにも考えがまとまらず断念してしまった。

是非、高校生諸君にはその叡智を活かし、スイングスピードと適正テンションの相関について調べて欲しいと期待している。

数字で見る野球 その5

ハマスタにて横浜対日ハム戦を観戦してきた。試合は行き詰まる投手戦になり、9回表に失点してガッカリするも9回裏の2アウトからの筒香選手の劇的な同点ホームランには感動した。試合は惜しくも敗れたが、充実した内容のゲームで大満足のハマスタ初観戦となった。

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写真1: 3塁側から見た試合直後のバックネット裏

写真1は試合直後に田口が撮影したものである。まだ18時ちょっと過ぎなので空席が多いが、最終的には満席に近いくらいにまで観客で埋まっていく。

写真1の赤枠で囲った部分は恐らくだが、Trackman社のstatcastというレーダーシステムだ。これによってボールの速度、バッターのスイングスピード、ボールの落下地点までの守備の位置、守備の打球反応などなど、ありとあらゆるデータがわかってしまう。メジャーリーグでは全30球団の本拠地全てに設置されており、視聴者もそのデータを見ることが出来る。下のリンクはMLBのサイトによるstatcastの紹介動画である。

http://m.mlb.com/video/topic/73955164/v81547683/the-history-and-technology-of-mlbcom-statcast

日本でもこのレーダーシステムの導入は進んでいる。一番最初に導入したのは楽天で、DeNAも2015年の6月に導入されたとのことだ。日本球界ではstatcastの映像はメジャーのように一般の視聴者が見ることはできない。早く誰でも見られるようになってほしいものだ。

さて、このstatcastの効果の程だが、導入後のDeNAを例に取ると如実に効果が出ているように思う。

まず投球の成績だが、その2で紹介したFIPを応用した指標であるtRAという指標で、2015年シーズンでは5位だったが2016年シーズンでは6月20日現在なんと12球団1の成績を誇っている。

また特筆すべきは守備の指標で、2015年は楽天に次ぐワースト2位(チームUZRは-49.6)だが、今年は6月20日現在4位(チームUZRは+11.5)まで改善している。(ただ、打撃指標は相変わらず最下位のままだが笑)

楽天やソフトバンクなど他の球団を見ても、どうやら自分たちのプレーを数値化して見ることは自身のプレー技術の向上に大きく寄与するようだ。プレーを数値化する技術が進んだことで野球が進化している、今はその進化の途上にあるのかもしれない。(個人的には交流戦でセ・リーグがパ・リーグに勝てないのはセ・リーグの球団が保守的な球団が多くこの進化についていけていないことにあるのではないかと思っている。)

・・・とりあえず野球のセイバーメトリクスに関する投稿は今回で一区切りにして、次回以降は「数字で考えるバドミントン」と銘打って、野球にもたらされた進化からバドミントンにも今後訪れるであろう進化を推測(という名の妄想)して楽しもうと思う。今回の野球の内容は反応を見る限りだと、難しすぎたのかもしれない。次回以降のバドミントン編では海城や戸山の中高生が読んでためになるような内容にしたいと考えている。

数字で見る野球 その4

今の横浜DeNAベイスターズはメジャーリーグの新しい戦略・技術を柔軟に取り入れて新しい球団へと生まれ変わろうとしている。もし当ブログで野球について勉強する機会を作っていなかったならば「なんか今年はベイスターズ強いな!」くらいにしか思わなかっただろう。現代野球について知れば知るほど、これからベイスターズはどんなチームへと進化するのかというこのワクワク感は深まる一方である。

過去3回の投稿では、打撃、投球、守備の3つの指標について勉強してきた。今回はそれらを全てひっくるめた指標であるWAR(Wins Above Replacement)という指標について勉強する。

WARとはWins Above Replacement、つまり「代わりの選手に比べて何勝上積みしたか」という指標である。

この言い方だとちょっとわかりにくいが、少しずつ言葉の意味を調べてみよう。代わりの選手というのは、そのリーグの平均より下の大体1.5軍レベルの選手のこと(本当はもっと複雑だがどうせ素人に計算できるようなものでもなさそうなのでこの程度の認識で良さそう)。何勝上積みかというのは代わりの選手に比べて、打撃と走塁で加えた得点と投球と守備で防いだ失点の合計1勝分の勝ちがあるとされる得点で割った数値である。

かなり難しい説明になってしまったが、要は投手野手関係なく「チームに何勝分貢献したか」を示す指標である。

この指標のメリットは投手野手関係なく一緒くたに評価出来てしまうところである。とりあえず、デルタ社が算出した去年のNPBのWARランキングを見てみよう。

2015年 WARランキング
1位 山田哲人 12.9
2位 柳田悠岐 10.1
3位 秋山翔吾 8.1
4位 坂本勇人 7.5
5位 前田健太 7.0

「えっ、坂本がマエケンより上?!」と思う人も多いかもしれないが、2013年の24勝0敗1セーブを記録した田中将大投手でさえWARは8.3と意外と低い。1試合単位で見ると投手が一番重要なポジションだが、野手は毎日試合に出るのに対し、投手は週1ペースなので案外そんなものらしいのだ。(個人的な感想だが、去年のヤクルトは76勝65敗で優勝だったことを踏まえると山田哲人がいなかったらCSすら怪しかった計算になることに衝撃)

また、過去のランキングを見ると、キャッチャー、ショート、セカンド、センターの守備に付いている選手が多い。いわゆる「センターライン」と呼ばれる、守備が上手い選手を置くことが多いポジションだが、WARの指標を信用する限りだと、この守備位置に良い選手をおくことでチームの勝ち星の数は大きく変わることになりそうだ。

このWARという指標はまだまだ発展途上で、メジャーではWARを算出しているサイトが2つあるが算出方法が異なる。そのため同じ選手なのに大きく異なる数字が出てくるケースもある。まだまだ完全に信頼しきって良い指標ではなさそうだが、大まかな目安程度に見るには面白い指標だと思う。

・・・勉強すればするほど野球の奥深さを思い知るばかりである。次回の投稿ではもう少しバドミントンにも絡めた話をしてみたい。

数字で見る野球 その3

ここ数日セイバーメトリクスの事について調べたり考える時間が増えている。バドミントンに繋がるような発見も多くて面白い。

前回の投稿では投手を評価する指標としてFIPというものがあり、防御率に比べて翌年、以降も安定した数字になるので、今後も活躍できる選手を評価しやすいということを勉強した。今回は打、投と勉強してきたので守について勉強したい。

FIPという指標は前々回紹介したOPSという指標に比べて遥かに日本の野球ファンには浸透していない指標だと思う。が、今回紹介する守備の指標であるUZR(Ultimate Zone Rating)と呼ばれる指標は、日本の野球ファンにも浸透しているように感じる。今まで守備の上手さを数字で表されてこなかったため需要があったのだろう。

ただ、UZRという指標の算出方法は複雑で、私も正確にはよくわからない。そこで、まずはもっと簡単なDER(Defence Efficiency Ratio)という指標から勉強したい。

DER

図1:打球結果の例

図1は飛んだ打球の位置が○だとヒット、☓だとアウトという意味である。このとき、

DER = ☓ / (☓ + ○)

になる。誰がどの程度守備に貢献したかはわからないがチームとしての大まかな守備力はうかがい知ることができると思う。

先ほどの例では、打球の飛んだ位置しかわからないが、UZRという指標の算出の際には打球をゴロ、フライ、打球速度を考慮し、例えば、二遊間のゴロの打球が来た時にそのリーグの90%の確率でヒットになる打球をアウトにする守備を行った場合にはアウトの確率を10%→100%にしたということで0.9プレーをプラスという計算をする。逆に先の例で順当にヒットにしてしまった場合は0.1プレーをマイナスする。

統計的に1アウトを取った場合に防ぐ失点の期待値は0.27点、逆にシングルヒットを許した場合に0.56点の失点の見込みが増えるので守備の一つ一つのプレーを点数化することができるとのことだ。

http://1point02.jp/op/gnav/leaders/pl/pfs_advanced.aspx?sn=2016&

日本では上に示したリンク先のサイトでNPBの選手のUZRを見ることが出来る。このサイトではそれぞれのポジションで12球団の平均を0として、平均より上の守備をしているプレーヤーはプラス、平均より下のプレーヤーにはマイナスとなる算出をしている。

UZRはプロ野球の試合における全打球をチェックしなければならないので、ただの野球好きの素人が出せる指標ではなさそうだ。また、1試合における打球数というのはそんなに多いものでもないので通年単位で見ないと本当のプレーヤーの守備力がわかりにくいというのも欠点だと言われている。

・・・ところで、この守備指標の考え方はバドミントンにも応用することはできないだろうか。

der_checker

図2:バドミントン守備力メモ

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図3:使用例

野球のDERやUZRの発想を活かすべく、図2に示した表を作成した。図3はその使用例である。

相手のどの打球、コースによって点を失ったかが分かれば、バドミントンの技術の向上に役立つのではないかと思い作成した。試しに録画した試合を見てメモを取ってみたのが図3で、ラリー数を数えながら相手にエースを奪われたショットもしくはミスを誘われたショットに印をつけるのは結構難しい作業だった。が、この図を見るだけでも新たな発見がある。例えば、チェン・ロンはバックのドロップやヘアピンとフォアへのスマッシュの組み合わせで点数を奪われていることや、ソン・ワンホはフォア側のショットではミスが少ない代わりにボディーやバック側での失点が多い、という具合だ。

本当は本格的な映像解析もできればもっと面白いのだが、これくらいでも十分意義のあるデータ収集が可能になると思う。セイバーメトリクスのバドミントンへの応用についてまだまだ考える余地が有りそうだ。

次回の投稿では攻、投、守全てを引っくるめた指標について勉強する。

数字で見る野球 その2

合宿で野球観戦はなくなりそうだが、個人的に横浜戦を見に行くことにした。ハマスタは初めてなので楽しみだ。

前回の投稿では、打撃の指標としては打率で見るよりOPSで見た方がより実際の得点能力に近い、という話をした。未だに日本野球界ではOPSが高くても打率が低いと野次られたりネットで叩かれたりしてしまう風潮が見受けられるので、まだまだメジャーと日本の野球の差は大きいなぁと感じさせられてしまう。

前回は打撃の指標の話だったので、今回は投球の指標について勉強したい。

投手でよく使われる指標といえば、防御率である。これは仮にこのピッチャーが9回まで投げたとしたら何点取られるかというのを出した指標で、野球初心者が見ても「今日は防御率2点台のピッチャーが先発だから2~3点くらいの勝負になりそうだ」という事がわかり、計算方法も

防御率 = 取られた点数×27 / 取ったアウトの数

と簡単なので昔から重宝されてきた。しかし極端な例だが、守りに付いている野手がプロの選手か少年野球かで、同じピッチャーでも全く違う防御率になるはずで、防御率という指標には味方の守備も少なからず影響している。真に優れたピッチャーかどうかを見極めるには不十分な指標だろう。

そこで2001年頃、守備が絡まない三振、四死球、被本塁打だけで投手を評価してしまおう、という考えが出てきた。その考えから生まれた指標がFIP(Fielding Independent Pitching)と呼ばれるもので、計算方法は

FIP = (被本塁打×13 + (四球 + 死球 – 敬遠)×3 – 三振×2) ÷ 投球回 + リーグごとの補正値

リーグごとの補正値の計算方法は割愛するが、そのリーグの平均的な防御率を計算に組み込むことによってそのピッチャーの防御率とFIPを見比べて易くしている。例えば、あるピッチャーの防御率が4.00だったがFIPだと3.00だとしたら、良いピッチングはしているけど、運悪く失点していたり味方の守備がザルだったり、となり、FIPが5.00だとしたらその逆で運良く失点してなかったり味方の守備範囲がとても広かったり、ということになる。

この指標が出てきた時は、打たせて取るタイプのピッチャーが評価されないじゃないか、本当にこんな指標でピッチャーが評価できるのか、と疑問が呈されたらしいが、どうやらこの指標の考え方は正しそうだ、という認識が広まり、今ではFIPの考えを応用したより正確な指標も登場している。(ベイスターズ所属のモスコーソ投手の素晴らしいエピソードと絡めてtRAという指標もいずれ紹介できたら嬉しい)

このFIPという指標が防御率より優れている点は守備の影響を受けないというだけでなく、防御率に比べて翌年も近い数字になりやすいという点である。

つまり、防御率より年ごとのブレが小さいので来年以降も活躍が見込める可能性が高い選手だということになる。それを踏まえて下のサイトを見てもらいたい。

http://1point02.jp/op/gnav/leaders/pl/pps_advanced.aspx?sn=2016&lg=0&tm=0&ps=1&pn=-1

FIPをより発展させたtRAという指標が一番右の列にあり、その数字が良い順に投手名がソートされているが、T(チーム):DB が上位に多くいるのがわかる。最近新しく加入した今永、石田らの活躍によって今後数年間、ベイスターズは投手王国としてセリーグ上位の常連に君臨し続ける予感がしないだろうか。

数字で見る野球 その1

当団体で野球観戦企画を立ち上げたものの参加者はいつもの面々に落ち着きそうな、今日このごろ。

今回のブログでは野球の数字について勉強しようと思う。野球の数字について理解を深めればより違う見方で野球を楽しめるのではないかと思う。

昔から野球では打率、本塁打数、防御率、ゲーム差などなど、多くの数字が使われてきた。それらの数字は多少の知識があれば直観的に理解できる数字だと思う。例えば、打率が高い選手ならよく安打を打てる選手、本塁打数が多い選手ならパワーの有る選手、大谷の160km/hと言われれば物凄い豪速球なのがわかるといった具合だ。選手紹介の際に世界ランクと勝率くらいしか数字の出てこないバドミントンと比べれば野球の数字の多さがわかるだろう。

打率、防御率といった数字は、野球初心者でもわかりやすく古くから使われてきた。しかし、少し考えればこれらの数字はある程度の目安になっても選手を評価するのに十分な指標とはいえないことがわかる。例えば打率に関しては10打席で3本シングルヒットを打ったが残りの7打席は三振の選手は3割バッターになるが、10打席のうち5打席四球を選んで残り5打席三振の選手は打率0.00ということになる。また防御率も狭くてホームランが出やすい球場をホームにしているチームの投手と広くてホームランが出にくい球場をホームにしているチームの投手で同じというのは不平等というものだ。

そこでアメリカの野球学会、SABR(Society for American Baseball Research)が選手をより正確に評価するための指標を数多く開発している。その中でも日本の野球ファンにも知られてきた指標をいくつかみてみたい。

まず代表的なものはOPS(On Base Percentage Plus Slugging Percentage)だろう。横文字だらけでなんのこっちゃ、と思われる方もいるかもしれないがこの指標は計算方法は簡単で

OPS=出塁率+長打率

出塁率=(安打数+四球+死球)÷(打数+四球+死球+犠飛)

長打率=塁打÷打数

出塁率は正確に計算すると複雑そうだが、要は塁に出られる確率である。わかりやすく極端な例で言うと、絶対にホームランを打つバッターがいたとしたら、出塁率=1.000、長打率=4.000となるのでOPS=5.000となる。また先ほどの、10打席3安打と10打席5四球の例でいうと前者のOPSは0.600、後者のOPSは0.500となる。

このOPSという指標の良い所は打率や本塁打数が少ない選手でも本当に得点に絡んでいる選手を評価できる点である。

ちなみに去年(2015年)のセ・リーグ平均は0.672、パ・リーグ平均は0.703(参照 http://www.baseball-reference.com/register/league.cgi?group=Foreign&year=2015)とのことだ。0.900を超えると一流とされていて、例えばベイスターズの筒香選手は5/26現在打率0.277、打点23 (他の打点上位選手は40超えてる)なのでファンからは不調だと心配されているがOPSは0.960なのでファンが思っているほど悪い打撃内容ではなく、十分やってくれていることがわかる。

ただ、OPSという指標にもいくつかの問題点が指摘されている。例えば、この指標では打者としての走力が加味されていないので俊足巧打タイプの選手に不利なこと、そもそも指標における長打率の割合が高くパワーヒッターに有利な指標であること、数字を見ただけではアベレージヒッターなのかホームランバッターなのかわからないことなどが挙げられる。これらの問題点を克服するためにSABRでは新しい指標も開発されているので、いずれ勉強して本ブログでも紹介できればと思う。

今回の投稿でもっと多くの指標を勉強できればと思っていたが、OPSの話が長くなりすぎてしまったので、他の指標は次回以降の投稿で勉強しようと思う。また、野球で用いられている指標をバドミントンにも敷衍できないかといったことも考えていければと思っている。