ここ数日セイバーメトリクスの事について調べたり考える時間が増えている。バドミントンに繋がるような発見も多くて面白い。
前回の投稿では投手を評価する指標としてFIPというものがあり、防御率に比べて翌年、以降も安定した数字になるので、今後も活躍できる選手を評価しやすいということを勉強した。今回は打、投と勉強してきたので守について勉強したい。
FIPという指標は前々回紹介したOPSという指標に比べて遥かに日本の野球ファンには浸透していない指標だと思う。が、今回紹介する守備の指標であるUZR(Ultimate Zone Rating)と呼ばれる指標は、日本の野球ファンにも浸透しているように感じる。今まで守備の上手さを数字で表されてこなかったため需要があったのだろう。
ただ、UZRという指標の算出方法は複雑で、私も正確にはよくわからない。そこで、まずはもっと簡単なDER(Defence Efficiency Ratio)という指標から勉強したい。
図1:打球結果の例
図1は飛んだ打球の位置が○だとヒット、☓だとアウトという意味である。このとき、
DER = ☓ / (☓ + ○)
になる。誰がどの程度守備に貢献したかはわからないがチームとしての大まかな守備力はうかがい知ることができると思う。
先ほどの例では、打球の飛んだ位置しかわからないが、UZRという指標の算出の際には打球をゴロ、フライ、打球速度を考慮し、例えば、二遊間のゴロの打球が来た時にそのリーグの90%の確率でヒットになる打球をアウトにする守備を行った場合にはアウトの確率を10%→100%にしたということで0.9プレーをプラスという計算をする。逆に先の例で順当にヒットにしてしまった場合は0.1プレーをマイナスする。
統計的に1アウトを取った場合に防ぐ失点の期待値は0.27点、逆にシングルヒットを許した場合に0.56点の失点の見込みが増えるので守備の一つ一つのプレーを点数化することができるとのことだ。
http://1point02.jp/op/gnav/leaders/pl/pfs_advanced.aspx?sn=2016&
日本では上に示したリンク先のサイトでNPBの選手のUZRを見ることが出来る。このサイトではそれぞれのポジションで12球団の平均を0として、平均より上の守備をしているプレーヤーはプラス、平均より下のプレーヤーにはマイナスとなる算出をしている。
UZRはプロ野球の試合における全打球をチェックしなければならないので、ただの野球好きの素人が出せる指標ではなさそうだ。また、1試合における打球数というのはそんなに多いものでもないので通年単位で見ないと本当のプレーヤーの守備力がわかりにくいというのも欠点だと言われている。
・・・ところで、この守備指標の考え方はバドミントンにも応用することはできないだろうか。
図2:バドミントン守備力メモ
図3:使用例
野球のDERやUZRの発想を活かすべく、図2に示した表を作成した。図3はその使用例である。
相手のどの打球、コースによって点を失ったかが分かれば、バドミントンの技術の向上に役立つのではないかと思い作成した。試しに録画した試合を見てメモを取ってみたのが図3で、ラリー数を数えながら相手にエースを奪われたショットもしくはミスを誘われたショットに印をつけるのは結構難しい作業だった。が、この図を見るだけでも新たな発見がある。例えば、チェン・ロンはバックのドロップやヘアピンとフォアへのスマッシュの組み合わせで点数を奪われていることや、ソン・ワンホはフォア側のショットではミスが少ない代わりにボディーやバック側での失点が多い、という具合だ。
本当は本格的な映像解析もできればもっと面白いのだが、これくらいでも十分意義のあるデータ収集が可能になると思う。セイバーメトリクスのバドミントンへの応用についてまだまだ考える余地が有りそうだ。
次回の投稿では攻、投、守全てを引っくるめた指標について勉強する。