最近はランニングの準備などで時間を割かれて、将棋を指す時間がなかったのだが、19日にランニングが終わってから再び将棋を指す時間が増えだした。
ただ、将棋を指してばかりいるのではなく、ランニングの準備で行ったストレッチや筋トレは継続していけたらと思う。
図1:12手目 対先手中飛車に角道を止める
今回、田口は後手である。久しぶりに初手▲5六歩の先手中飛車を相手にすることになった。以前は相振り飛車を志向していたが、小林裕士七段の定跡書(※1)を読んでから居飛車穴熊を志向するようになった。
プロ間で先手中飛車が廃れた理由は△5四歩と突いて中央で勢力負けせずに手厚く指す戦い方で”郷田新手△5二金”と呼ばれる郷田王将の新手により先手の勝率が下がったためだが、田口の採用したのは渡辺棋王などが採用するとにかく穴熊に囲う戦い方である。
図2:25手目 先手、角頭を狙う
お互い穴熊に囲ったあと、先手は角頭を狙ってきた。穴熊だと普通は△2二銀とする手を「ハッチをしめる」といって重要な一手なのだが、このように角頭を狙われる展開になりそうな場合はハッチを閉じないのが良いのである。
ここで田口の次の一手は△5一銀。右の銀も穴熊に引きつけて、後手番らしく専守防衛からのカウンターを狙うのがプロの棋戦でも頻出の戦い方だ。
図3:35手目 先手角交換拒否の▲6六歩
後手は4枚穴熊が完成しているのに対し、先手の金銀はバラバラである。ここで大駒交換が行われると玉の堅い後手の方が指せるため、▲6六歩という手は仕方ない。
ここで田口は△2二角という手を指した。これがハッチを閉めなかった効果がまさに出た手で、先手が▲3四銀と進めても△4四金で何手もかけて進めた銀が守り駒も剥がせず攻めが空振る。つまり頑張って3筋を攻めた先手の苦労を無力化している好手なのである。
図4:57手目 出来なかった攻守の切り替え
先手は△2二角によって3筋攻略が難しくなった・・・と思いきや穴熊の要である玉の隣の桂を攻めに使うとんでもない攻めを見せてきた。しかし冷静に対処し、図4の局面は後手がよくなっている。
ここで△3五歩ならわかりやすく後手良しだった。金を取られようが3筋を攻め返して△3六桂と打って玉の側の銀を攻めれば後手玉が王手のかかりにくい形なので逆転も起きにくい展開になっていたと思う。
が、田口は△2四金と金を逃げてしまった。以後数手カウンターのチャンスがあったのに受けの手を指し続けてしまい、先手のパンチを食らってしまってあっさり逆転してしまった。専守防衛の序盤から攻めに切り替えるタイミングを見抜けるようにしたい。
図5:81手目 先手有利になってから日和る
対局中はなんでこちらが不利になったかわからなかったのだが、攻めるときに攻めなかった罪の大きさを分かったのは今回のブログ作成での最大の収穫である。
ここで田口は▲3四歩と無理やり角の二段ロケットの道をこじ開ける手を警戒していた(激指先生最善手)。が、有利になると守りに入りたくなる人間心理というのは難儀なもので、相手はここで▲5四馬という手を指してきた。これは金を食いちぎるのが主目的ではなく△3六桂を防いだ守りの手である。
これは結論だけ言うと緩手なのだが、30秒将棋では相手の一番の狙いを消す手は相手のミスを誘う有力な手段ではある。田口は案の定何指せば良いかわからなくなり△2一桂と▲3四歩と指された時に指そうと思った手を指してしまった。これで先手優勢がはっきりした。
正着は△5二飛と回って馬取りにいくべきだった。馬で金を食いちぎる手が来れば△3六桂のカウンターの楽しみがあるし、引いたら引いたで馬を攻めながら△3六桂を狙えば良かったのである。
図6:100手目 熱い勝ちの譲り合いの果て
先手が優勢になったにも拘らず、先手も先手で攻めるべきところで攻めずに桂馬取ってたりと緩手を指していたため局面は互角である。次の後手の狙いは△3六桂である。ここで激指先生は▲4八桂という強靭な受けの手を示してくれた。△3六桂を防ぎつつ飛車取りになる素晴らしい一手だと思う。
実戦は攻め合いの▲2五桂だったが、これが敗着だった。待ちに待った△3六桂がようやっと入った。対局中は受けの手がないので消去法的に指したので形勢判断ができていなかったが局後冷静に見ると相当優勢になっていることに気づいた。対局中に冷静な判断ができるようになりたい。
図7:111手目 次の一手問題
図7の局面は後手勝ちの局面である。ここで次の一手で勝ちがはっきりする。
答えは△3七歩。取らないと△2八銀で詰みなので同玉の一手だが、△3三金と成桂を取った手が詰めろになっている。相手は△3三金を見て投了されたが、田口は不覚にも詰みを読みきれておらず、▲3一金と迫られたらどうしようなどと考えていたが、投了後見てみたら簡単な詰みで拍子抜けした。
本局はお互いに攻めるときに攻めなかったせいで形勢を損ねた対局だった。対局終了時は何とか穴熊の遠さが最後に活きたので大満足だったが、激指先生と検討すると反省だらけの対局だった。押し引きの感覚に重点を置いて今後将棋を指してみたいと思う。