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4月12日の将棋

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図1:8手目 相手ゴキゲン中飛車を採用

ブログの投稿は約3週間ぶりだが、その間指していなかったわけではなく、むしろより多く指していた。何故か結構勝てており三段を無事キープできている。ただ、内容はあまり良くないものが多い。実際、対藤井システムの棋譜を投稿しようと思ったがソフトと検討すると悪手の連続でとても自戦解説に値しないようなものだった。

ただ本局は先手の田口に対し後手の方はゴキゲン中飛車を採用された。ゴキゲン中飛車とは角道を止めずに5筋の位を取る中飛車戦法のことで、近藤正和七段が発案した戦法。ゴキゲン中飛車のゴキゲンとは近藤七段の人柄のことを指している。一時期はプロ間で圧倒的な勝率を誇ったが先手に有力な対策ができて現在は下火になっている。

田口はこのゴキゲン中飛車相手には勝率は7割程度あり、得意にしている。

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図2:16手目 後手4四銀対抗形を採用

先手は▲6八玉と上がりすぐに▲3六歩から右銀を中央に繰り出していく「超速3七銀」と呼ばれる戦法を採用した。これは星野良生四段が奨励会員時代に発案した戦法でこの戦法の出現によりゴキゲン中飛車の勝率が激減したのである。

対する後手は負けじと△4四銀と上がる形を採用した。超速3七銀に対して後手の指し手はいくつかあるが、この形もプロ間でよく指されている。しかし田口が最近読んだ「久保&菅井の振り飛車研究」(*1)でこの△4四銀対抗形は久保九段、菅井五段とも良いイメージがないという見解を示されていた。振り飛車党の大家二人がどのような順を嫌がっているのかを読んで覚えていたので自信を持って駒組みを進めた。

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図3:37手目 本来後手が許してはいけない▲8六角

4四銀対抗形の将棋では相穴熊の将棋が多い。本局も相穴熊となった。この局面は後手の△5四飛という手が疑問手で先手が既に良くなっていると思う。その理由として

①先手の金の方が後手の金より玉に近いので囲いの耐久力が高い

②先手の角は後手陣を睨んでいるが後手の角は現状4四銀と5五歩が邪魔で守りにしか利いていない

③先手は右桂を3七桂、4五桂と中央に使っていけるが後手の左桂は角が邪魔で攻めに使えない

4つ目の理由は後述するが、以上の理由からここから負けるわけにはいかないと思っていた。②の理由を防ぐために後手は本来△4二角という手を早い段階で指して▲8六角という手を許してはいけないのだがそれが実現しているのが大きい。この△4二角という手は村山慈明七段の「ゴキゲン中飛車の急所」(*2)という定跡書に詳しく載っており、後手の勉強不足である。

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図4:44手目 先手理想型からの開戦

前述の「久保&菅井の振り飛車研究」において4四銀対抗形は何かのときに▲4五銀と銀をぶつけられるだけで仕掛けが成立してしまうのが嫌だ、という見解を示されていた。先ほど後述すると言ったの4つ目の理由は

④▲4五銀の時に飛車取りになるので△同銀としかできない

というのもある。そのため△5四飛は疑問手だと思ったのだ。本譜は図4から▲4五銀、△同銀、▲同桂に後手の方はうっかり△4四歩と桂取りに歩を伸ばしてしまったが▲6三銀で飛車が詰んでしまった。田口が後手なら投了(*3)してたと思うほどのミスで後手は△4四歩のところで△5二金と▲6三銀を打たれないように頑張るしかなかったのではないかと思う。(ただそれでも▲6五歩と突かれて先手の攻めは続くが)

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図5:62手目 後手△4九飛の頑張りだが・・・

局面は先手が勝勢だが後手に飛車が渡っている。現在は先手が角得の上玉型も堅いので当然攻めの手を指しても勝てる。が、ここで友達をなくす手を指してしまう。

▲1八飛。右端にいる香車すら渡さないという強欲な手でネット将棋だから指した手であると言える。面と向かって指している相手にこんな手を指したら性格の悪さが疑われてしまう。是非注意されたし。

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図6:76手目 詰めろを防ぐ△4一龍に対しての決め手(?)

諦めの早い田口からすると後手の人は何故指し続けられるんだろうと思える局面が続き図6の局面。田口の次の一手は▲4八飛。最善手ではないと思うが、△同龍は▲8一金の一手詰めで取ることができない。△4二歩の一手に▲5二金と追い打ちをかけたところで後手投了となった。以下それでも指すなら△7一龍しかないが▲同金、△同銀、▲4一飛、△7二金、▲3一飛成、△3七桂成、▲4二飛成(▲8七銀から勝ちになっているが敢えて笑)と徹底的にメンタルを折りにいくのが、諦めの悪い相手には良いだろう。

本局は序盤の作戦勝ちから中盤で相手に致命的なミスが出てそのまま勝勢になったという将棋であった。改めてプロの定跡書を読みまくることが棋力の向上に大いに役立つことを思い知った一局だった。

※1 久保利明、菅井竜也「久保&菅井の振り飛車研究」 振飛車党で捌きの棋風で知られる二人の棋士が現代振り飛車の将棋で重要と思われる局面について各々の見解を語り、和やかな雰囲気で対談している。ゴキゲン中飛車については現状は正確に指せば居飛車有利だが実戦的には居飛車が正確に指すのは大変で、むしろゴキ中の方が指し手がわかりやすく指しやすいのではないかという見解を両者示している。

※2 村山慈明「ゴキゲン中飛車の急所」 ”序盤は村山に訊け”と言われる程の研究家である村山慈明七段のゴキゲン中飛車の定跡書。ゴキゲン中飛車に対する対策を時系列的に紹介しているのでプロがどのような研究をしてきたか歴史書としても読める名著。ゴキゲン中飛車に関しては本著と菅井五段の著書「菅井ノート後手編」を読めばアマチュアレベルで必要な知識は網羅できると思う。

※3 田口は諦めが早い。アマチュアレベルなら逆転できるかもしれないような局面でも指してて辛いと投了してしまうことがしばしば。ちなみに諦めが早いプロの代表に島朗九段がいて、タイトル戦のニコ生でも形勢に差がつくと「島なら投了」という文字が飛び交う。

4月11日松濤練

  • 平成27年4月11日の練習メニュー

18:15~19:10 基礎打ち

19:10~19:40 スマッシュなしダブルス、オールアタックオールレシーブ

19:40~20:45 ダブルス練

  • 参加者 19名 (男性16名、女性3名 もう少しいたかも?)
  • 安定の海城参加率。今後も継続してほしいです
  • 土曜日だと参加者が多いことが分かったのは収穫です。今後も月一回は取りたいものです

※ 他に書き残したいことがある方はコメント・掲示板等で田口に連絡ください

4月2日松濤練

  • 平成27年4月2日の練習メニュー

18:15~19:00 基礎打ち

19:00~20:00 ダブルス練

20:00~20:25 ドロップ交互・スマッシュ交互・ハイクリア

20:25~20:40 ダブルス練

  • 参加者 7名 (男性7名、女性0名、内、海城出身者6名)
  • 最近の海城生の積極的参加が目立つ反面、戸山出身者の参加率の低さが気になります
  • ドロップ交互を見てて他の参加者に比べJTRの動きは無駄が少なく、同じ動きを繰り返せているように見えました。現役にも歩数くらいは安定させられるように指導していきたいと思いました。

※ 他に書き残したいことがある方はコメント・掲示板等で田口に連絡ください

第30回新宿春季バドミントンダブルス大会

男子ダブルス3部
1回戦 上野山・堀井 2 0 布施・川上(日法)
女子ダブルス3部
1回戦 庄司・堀場 0 2 塚原・阿久澤(チロル)

1回戦の結果を報告致します。

上野山・堀井ペアが相手を寄せ付けない攻めのバドミントンを貫き、危なげない試合運びで快勝でした。

庄司・堀場ペアは2セットとも競った展開には持ち込んだもののセットを奪うには至らず、残念ながら初戦敗退となってしまいました。

男子ダブルス1部
2回戦 床波・宮島(外部) 2 0 (対戦相手失念)
男子ダブルス3部
2回戦 上野山・堀井 1 2 高橋・三田(ナッパ肉部)
2回戦 田口・谷津 2 0 平塚・藤代(CHOB)

2回戦の結果を報告致します。

男子ダブルス1部の床波・宮島ペアは第1シード、多くのギャラリーというプレッシャーをものともせず、速い攻めと落ち着いた試合運びで快勝しました。

上野山・堀井ペアは先に1セットを取ったものの2セット目に失った流れを取り戻せず奪われ、3セット目もシーソーゲームが続くも最終盤で連続失点が響き敗退してしまいました。(なお、対戦相手は準優勝しました)

田口・谷津ペアはシードでの登場。前日までの海城合宿の疲れから露骨に元気のない田口とは対照的に谷津の積極的な攻めが決まり、危なげない内容で快勝しました。

男子ダブルス1部
3回戦 床波・宮島(外部) 2 1 (対戦相手失念)
男子ダブルス3部
3回戦 田口・谷津 1 2 青柳・菅野(T.P.M)

3回戦の結果を報告致します。

床波・宮島ペアはマスク+ジャージという珍妙な出で立ちの対戦相手への苛立ちと、2球目のショートサーブに対する強烈なプレッシャーで2セット目を奪われてしまいますが、3セット目に徹底したロングサーブ攻勢を始めるとその後は有利な試合展開になり勝ち切ることができました。

田口・谷津ペアは1セット目を危なげない展開で奪い、2セット目も先にマッチポイントを握ったものの、田口の体力・気力が底を尽き逆転負けを喫してしまいました。

男子ダブルス1部
準決勝 床波・宮島(外部) 2 0 (対戦相手失念)

男子ダブルス1部準決勝の結果を報告致します。

準決勝の対戦相手がその前の試合でフルセットの激戦だったことで気持ちが切れていたのに対し、床波・宮島ペアは容赦ないスマッシュを連発し対戦相手を圧倒しての勝利となりました。

男子ダブルス1部
決勝 床波・宮島(外部) 2 0 兼松・中原(プラチナム)

男子ダブルス1部決勝の結果を報告致します。

決勝の相手は背の低い左利きの選手と背の高い右利きの選手のペアという非常にクセのある大学生のペアで2セットとも中盤までは競った展開になりましたが、勝負所での集中力が光り2セット連取。見事1部での優勝を果たすことができました。

優勝おめでとう!&大会お疲れ様でした!

(著者:田口)

3月22日の将棋

http://wiki.optus.nu/shogi/index.php?cmd=kif&cmds=display&kid=82939

上の棋譜を参考にすると、これからいかに田口がプロの棋譜を真似しているだけかが分かって頂けると思う。

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図1:9手目2五歩に対し、後手3二飛で再び4→3戦法の相手

連敗を喫してしまい、24三段から陥落しこの一局に勝ってもギリギリ三段届かないというレートでの対戦である。特に対藤井システムに全く勝てておらず、24初段に負けてしまったのが痛かった。対藤井システム相手でも穴熊に組みに行って負かされているので5五角急戦を採用すべきか迷っている。

それはそうと、本局は以前ブログでも取り上げた4→3戦法を相手が採用された。しかし、先月と違うのはブログで私の駒組みを激指とどこが問題だったかを検討しただけでなく、A級順位戦最終局渡辺二冠対久保九段戦で後手の久保九段が4→3戦法を採用したが、69手という短手数で投了に追い込まれた。このブログで4→3戦法はプロ間では勝ちにくい戦法と紹介したのでその通りの内容と結果になりホッとした。

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図2:27手目 個人的に感心した▲5八銀

図2の局面は9筋の端歩を交換していないこと以外は上の参考棋譜と全く同じである。

上の棋譜で個人的に一番感心したのがこの▲5八銀という一手である。飛車打ちの隙を無くすために仕掛けられたところで▲3八銀という手は今まで見たことがあったが、銀を5八に引く手は知らなかったしソフトも読みに入っていない。玉型の堅さを重視して細い攻めを繋げる棋風の渡辺二冠らしい一手だなと思った。

本譜は△2五歩、▲同飛に△2四銀で上の棋譜と離れた。

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図3:33手目 隙ありの▲1四歩

後手は先手の飛車を抑えこみたいのだが、▲1四歩が序盤に1筋を突き越した効果である。素直に同歩だと▲1二歩、△同香、▲4五角が狙いである。

そこで後手は△3六歩と暴れてきたが、局面は先手有利に傾いている。

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図4:39手目 予想外の悪手▲1四歩

33手目と同じ▲1四歩という手だが、前者は好手、後者は悪手である。この▲1四歩という手は△同香▲同香となればすぐに香車が取れないでしょう、という手で頻出の手筋ではあるのだが、この局面では悪手で△同香▲同香のあと△1六飛という手が香取りと飛車成を見た好手で、▲1四歩を入れずに単に▲1三同香成ならば△1六飛、▲1七香、△4六飛▲1四成香で成香の活躍が見込めるが、本譜だと1四の香車が使いづらく、ソフトの評価値が逆転する一手だった。

しかし、▲1七香という手に対して△4六飛なら相当難しい将棋になっていたが、△2六飛と飛車交換してくれたので、事なきを得た。以下、1一飛車が単純ながら強烈で、玉型の差もあり必勝と断言して良いと思う。つまり39手目という短手数にして敗着が出てしまったのだ。

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図5:69手目 後手投了図

本局終了後はプロの棋譜を参考にした完勝譜で序盤中盤終盤隙のない一局かと思っていたが、図4のように中盤もミスがあり、本局の寄せ方も後で検討すると最善とは程遠い差し回しだったようだ。隙だらけだったので実力不足を痛感する。

とはいえ、本譜は奇しくも上述の順位戦の棋譜と同じ69手で後手を投了に追い込んだ。なんといっても先手玉は金銀4枚の守りに一切手が付いていないのが心強い。

ちなみに図5は△同玉から13手詰めである。長いが30秒将棋の対局中に田口でも分かった詰みなので、難しくはないはずである。是非頭のなかで詰まして欲しい。

・・・もしこのブログをしていなかったら順位戦の4→3戦法の棋譜にここまで注目することはなく、「久保九段はなんでわざわざ勝てない戦法の4→3戦法なんか使ってるんだ…?」という感想を抱いて流していただろう。しかし、このブログで4→3戦法を取り上げて自分なりに色々考えたことで、むしろ渡辺二冠の対4→3戦法の優秀な対策という面に目がいくようになった。また一つプロの棋譜を見る楽しみ方が増えたような気がする。

3月18日松濤練

  • 平成27年3月18日の練習メニュー

18:15~19:25 基礎打ち

19:25~20:40 ダブルス練

  • 参加者 7名 (男性6名、女性1名 内、19時過ぎからの遅刻参加者2名)
  • 田口の到着が19時過ぎと遅刻したため新品シャトルを使いはじめるのが遅れました。申し訳ございません。
  • 25日も私が抽選会に行くことになりそうです。カード私が持ったままなので・・・
  • 希望日がある方は掲示板に書いてください!LINEより優先して取ります(笑)

※ 他に書き残したいことがある方はコメント・掲示板等で田口に連絡ください

3月17日の将棋

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図1:13手目 先手横歩取り回避の▲2四飛

今回田口は後手である。いつもは早指しだが今回は持ち時間15分秒読み1分での対局を行った。今回もダイレクト向かい飛車を志向した4手目△9四歩に対して▲9六歩と受けられてしまったので横歩取りを採用した・・・つもりだったのだが、先手からの変化球で取れる横歩を取らずに飛車を引いた。かつて故・米長邦雄永世棋聖はこの取れる横歩を取らないのは肝が小さいという旨の話をされた記憶がある。

精神論抜きにしても、実際プロ間ではこの局面で後手の方が手段が増えるため先手のメリットが消えると見られているが、アマチュア的には横歩取りより相掛かりが得意な方ならこの局面に誘導するメリットはあるのではないかと個人的には考えている。実際横歩取りの定跡には精通していても相掛かり調の将棋はさっぱりなので、かなり動揺した。

 

 

 

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図2:33手目 先手ひねり飛車採用で4手目△9四歩に注文をつける

先手が横歩を取らない手の真の狙いは相掛かり調の将棋にすることではなく、ひねり飛車にすることだった。

ひねり飛車というのは居飛車の出だしから図2のように飛車を転換して石田流のような形をつくる戦法である。横歩取り系の将棋で用いられる。

おそらく先手の方の考えとして、9筋の交換を先手にとってプラスにするにはひねり飛車を採用することで、先手の▲9六歩は角が9七の地点に行けるが、後手の△9四歩はそれに比べるとプラスにはなっていないでしょう、ということだろうと推察した。

非常に理にかなっているなぁ、と感心したがひねり飛車はプロ間では勝率があまり高くない戦法であり、また田口はひねり飛車対策を得意にしている。確かに△9四歩は不急の一手なので普通のひねり飛車に比べると損ではあるが、その程度の損でも問題ないと考えている。

 

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図3:49手目 先手無理気味の仕掛け

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先手の方がもう少し組み合うべき所でいきなり仕掛けられた。図3の局面では△同銀、△7五歩、△同桂の3つの選択肢が思いついた。

 

参考図1:50手目7五歩からの楽観的な読み(60手目)

田口は基本的に穏やかな順から考えてしまうのでまず△同銀を考えたが、先を読もうと思ってもお互いに候補手は多いのに有効手がない難解な将棋になりそうで却下した。(局後の検討で、ソフトの評価値は後手+30程度で互角)

次に△7五歩で、相手に仕掛けられた時点では△7五歩を読んでいた。実際の読みの一例として飛車と桂をお互い取り合って先手が両取りを掛けたところで鋭いカウンターを決める!という参考図1までの楽観的な読み筋を考えていたが、先手が飛車交換後すぐに桂馬を取らずに▲6五桂という手が好手で、難解だということに気づいた。(ソフトの評価値は後手+300程度で後手有利)

△7五歩が難解なので、△同桂という手も考えてみようとなった。一目▲7四歩で桂頭狙われて良くないと思っていたが、7三にと金作られても少し読んだら大丈夫なことに気づいた。そこで実戦では大して読まずに△同桂と指した。(実際ソフトの評価値は後手+700で後手優勢。最善手)

△7五歩の変化を4~5分くらい掛けて4~50手くらい読んだのだが、1分くらいで思いついた△同桂の方が良い手だったということだ(計5分50秒この一手に要した)。おそらく30秒将棋だったら△7五歩と指してたので15分将棋の効果が出たといえる局面である。

 

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図4:66手目 気持ちよすぎる△7四桂

中盤私にも小ミスは有ったのだが、咎められることなく進み、「こうなればこっちが良くなりそう」と思っていた読み筋通りにスラスラ進んでとても気分の良い将棋だった。この△7四桂は4手前あたりから読んでいたが、まさかその通りに進んでしまうとは、という感じでディスプレイを前にしてニヤニヤしていた。

この場面で先手の方も長考されて、▲8五歩、△同飛、▲7六金(!)という勝負手を繰り出されてきたが、相手が長考されたのでもしかしてこの順が来るのでは、と思い予め読んでいたので、少考で△同歩、▲8五龍、△8六角と指すことができた。

不運なことに、8六角が6八の銀取りになっているのである。先手は二枚飛車で攻めようにも6一に底歩が効くので効果が薄い。後手勝勢になった。

 

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図5:119手目 度重なる詰みを逃した末…

私なら投了、という局面から30手以上続いてしまったのは田口の詰ます力の弱さに他ならない。この図に至るまでに3~4度詰みを逃している。先手は攻め駒がなく、負ける心配がないとはいえ、詰みを逃し過ぎである。大いに反省したい。

この局面で△5九龍と香車取ろうか迷ったが、流石に詰まさなきゃだめだ、と気を入れなおして読んでようやっと△6七龍からの詰みを発見できた。

以下、▲5七香、△5八銀、▲4六玉、△3五香、▲同桂、△同歩で先手の方は投了された。どう逃げてもあと4手で詰むのでわからない方は盤を並べて考えていただきたい。

本局は得意の対ひねり飛車で快勝を収めることができた。24で三段を維持できているのは自信になる。あとはもう少し詰む詰まないの局面で上手くさせるようになれれば、と思っているが詰将棋をもっとこなさなければいけないだろう。まだまだ道は遠く険しい。

3月16日松濤練

  • 平成27年3月16日の練習メニュー

18:15~19:00 基礎打ち

19:00~20:45 ダブルス練

  • 参加者 14名 (男性12名、女性2名、内、初参加2名)
  • 海城生が多く、若々しさ溢れてました。個人的には戸山高校の現役の積極的な参加に期待しております。

※ 他に書き残したいことがある方はコメント・掲示板等で田口に連絡ください

3月11日松濤練

  • 平成27年3月11日の練習メニュー

18:15~19:00 基礎打ち

19:00~20:45 ダブルス練

  • 参加者 13名 (男性13名、女性0名、内、受験が終わった高校3年生5名)
  • 横田さんが居ない時のシャトルは誰が持ってくるか、またシャトル代の管理についてどのように行えばよいか検討する必要があるように感じました。

※ 他に書き残したいことがある方はコメント・掲示板等で田口に連絡ください

 

3月8日の将棋

前回の投稿で、もう少しで24三段のレートが近いと書いたが、同じくらいの実力者に2連勝すれば三段になれるレートだった。

そして3日ぶりに指すわけだが、今日の一局目がこちらの先手で、「2手目3二飛戦法」に相手が24三段とは思えないくらいの快勝だった。2月8日にブログを投稿する際に三間飛車対策を激指先生と検討したが、その経験が活きたと思う。

その将棋は田口の実力以上の鋭い寄せが炸裂した(というか相手のかけた技が完全な暴発だったのだが)ので載せようかと思ったが、棋譜を保存するのを忘れてしまい、思い出そうと思っても相手の序中盤で不思議な手が多くて思い出せないこともあり断念した。

あと一勝で24三段復帰とあり次の一局は気合を入れて臨んだ。

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図1:5手目 4手目△9四歩に対し、端を受けられる

4手目△9四歩は前回の投稿でも書いたが、ダイレクト向かい飛車を志向した一手である。それに対して5手目に▲9六歩と受けて来られた場合はダイレクト向かい飛車にするとやや損なので、別の戦法を目指すことになる。2月は2月14日の投稿にもあるようにノーマル四間飛車を指していたが、いかんせん勝てないので3月に入ってから△8四歩と突いて、田口の本領である「横歩取り」を採用している。

田口がアマ四段を取ったときに将棋センターで同じく四段の人たちと6局対戦して3勝3敗で四段を頂いたのだが、その3勝は全て横歩取りの将棋である。横歩取りだけで四段を頂いたようなものなので、他の戦法でももう少し得意戦法と言えるような戦法を増やしていきたい。

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図2:24手目 後手、8四飛・5二玉型

最近のプロの横歩取りでは大半は8四飛・5二玉型である。少し前までは8五飛・4一玉型が多く、その中の「新山崎流」と呼ばれる変化は自分なりにかなり研究した記憶がある。最初に24三段突破した時もその戦型がプロ間で流行っていたこともあり24で指してくる方も多く、勝ち星を荒稼ぎできた。

が、今では先手が新山崎流の変化にせず、その戦型になることはまずない。横歩取りはプロの研究速度がやたら早く、定跡がコロコロ変わるのである。なので、読みの力はイマイチだけどプロの棋譜を追っかけまくる田口みたいなのが勝ちやすく、プロの棋譜はあまり見てないけど毎日詰将棋解いて終盤力鍛えているみたいな人には向かない戦法だと思う。

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図3:39手目 相手の消極的な中盤で有利になるが…

この2手前に、▲8七歩という「これは咎めなければ!」という手を指されてのこの局面。この局面は有利だと思っていたし、実際ソフトに解析させると後手有利という評価値が出る。しかし、ここでもたもたすると先手の形が良くなるので後手は上手く攻めを繋げなければならない。その手順が浮かばず、取り敢えず△3七歩▲同銀△2五飛とぶつけて、▲同飛なら△同桂が銀に当たるのでどうか、と思っていた。実戦は飛車がぶつかり合うもどちらも交換したがらない不思議な展開が続いた。

しかしその後ソフトとの検討では先手から飛車交換後、冷静に▲2八銀と引かれると意外に手がなく、後手としては3二にいる金が浮いているので何かにつけて3筋に飛車を打たれる筋を警戒しなければならない展開になり、先手ペースになる危険性があった。

正着は△3七歩▲同銀に△1五角で、ソフトも指摘している上に定跡書(※1)にもこの攻め筋が紹介されているのでほぼ間違いないだろう。横歩取りの将棋に限らないが、攻めのパターンを覚えておくことは棋力向上に大いに役立つ。

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図4:50手目 強烈すぎる4五の桂

正しい攻め方ではなかったが、先手としても指す手は難しい。なんといっても後手は桂馬を4五に跳ねただけで先手玉はかなり危険になっているのである。

先に結末を言ってしまうと、この6手後の56手目で先手は投了してしまう。それくらい危険な局面なので、▲3七歩成とギリギリの利かし(手抜かれる危険性もあるが)を入れるか、▲6六角と攻防に角を打って△5七桂を防ぐかしなければいけなかった。

が、気持ちは分かるが▲2一飛と指された。これが敗着で、以下△5七桂成▲同玉△5九飛(←激痛)▲6八玉△2九飛成までで先手の方は投了された。まだ指せば十数手かかるとは思うが、先手は金銀を取られながら詰めろをかけ続けられそうにも関わらず後手玉は金銀の連結がしっかりしているいい形なので攻防ともに見込みなく、投了も仕方ないだろう。

・・・というわけで56手という短手数であっさり24三段の相手に勝ってしまった。横歩取りの将棋は1手事故るとあっという間に勝負が着いてしまうスリリングな戦法で、この戦法でしか味わえない綱渡り感覚がまた面白いところである。

 

これでレートは1900を超えて、晴れて24三段復帰である。私の元いた研究室でコンピュータ将棋を研究してた先輩が24で三段だったので三段というのは私の一つの目標である。その目標が達成できたのは嬉しい。が、一回負けたらすぐに二段なので、これに浮かれてばかりもいられない。これからも棋力向上に精進したい。

※1 村田顕弘五段「現代横歩取りのすべて」   内容は有段者(というか高段者)向けだと思う。序中盤に関しては物凄く網羅されているので、読めば本局のようにネット将棋で同じくらいの棋力の相手を簡単にボコれてしまう。が、定跡書の中でも専門的すぎてかなり難しい方だと思うので、級位者や横歩取り指さない方にはオススメできない。