図1:40手目 先手四間飛車▲6六銀型
今回はアマチュアでは未だによく指されている四間飛車対居飛車穴熊で田口は後手である。この相手に田口は2連敗を喫していた。(連コしていたわけではない)
前回負けた後、激指先生に修正手順を教えてもらっていたので、今回こそは勝とうと思って臨んだ。田口は▲6六銀型に△4二角という手を好んで指している。右桂を捌きやすいというのが△4二角のメリットだと思う。
図2:43手目 桂跳ねにいきなりの反発▲7五歩
この手も2連敗したときと全く同じ手である。この手に対して同歩と取ると同銀で相手の攻めが速くなってしまう。ここは△2四飛の一手である。
以下、▲5五歩△同歩▲4五歩△2六歩▲同歩△5六歩▲5五銀△2四角が激指先生に教えてもらった手順。田口の事前検討ではここで、と金▲5六金と歩を払うも△3五歩と桂頭を攻めて後手が勝ちやすいという考えだったが、次の一手で別の手を指される。相手はこの戦型を指し慣れているのである。
図3:53手目 と金攻めより速い▲4四歩
ここで▲4四歩という手が好手であった。仮に一直線に攻め合う△5七歩成のような手だと▲4三歩成△4七歩成▲3二と△3八と▲同金となると先手玉は意外と安全で後手が負けてしまう。なので、この▲4四歩は受けなければならない。田口は△4二金と引いたが、強く△同金という手もあったのだろうか(激指先生推奨手だがいい手に思えない…)今後の検討課題である。
図4:58手目 味の良い△7五歩
先手は2枚の歩の楔を打って満足の展開だと思う。この一手前で△5七歩成を防ぐために自玉を固めながら角道を通す▲6六銀という手を指され、対局中は田口も良い手っぽいなぁ、と感心していたのだがこれが緩手だったみたいで、逆転したようなのだ。▲5六金と歩を取りに行く方が優ったらしい。ココらへんは何がプラスの手なのか直観的にわかりにくくアマチュアには難しい局面だと思う。
▲6六銀に対して△7五歩が好手で、飛車が5四に回ったり、▲7六歩で角をいじめる手などが生じ、先手も忙しくなった。先手はここで▲6四歩と△5四飛を防ぎつつ攻める手を指したが、これも単に△同歩で次の△6五桂が厳しい。この数手で後手が一気に優勢になった。
図5:72手目 穴熊の勝ちパターン、金取り放置の攻め合い
先手はかなり強引に攻めてきているが、図3の時と違い、今度は後手も持ち駒が増えており、後手が攻めているのが5筋と1路遠いので攻め合って後手が勝てる。例えば一直線に攻め合った場合を考えてみると、▲5三歩成△4六歩▲4二と△4七歩成▲3一と△4四角で以下、かなりの長手数になるが先手玉が詰む。(ただし、この詰みは長手数かつ難易度もかなり高いので30秒将棋で詰ませられる自信は無い。もしかしたら一直線に進まれたらまずかったかもしれない)
一直線に進むと先手玉が詰むので受けなければならないが、並みの受けでは穴熊の方が1手速い。激指先生推奨の勝負手に▲3五銀という手があり驚いた。△同歩と取ると角の利きが止まり▲3四桂が生じるというものだ。(ただそれでもすぐに逆転するわけではないが)
実戦は▲同銀と歩を取ってくれたので△5七歩成で気持ち的に凄く楽になった。
図6:87手目 「端玉には端歩」という格言を失念している田口
図6では△1四歩と突く手が「端玉には端歩」の格言に則った好手で、後手は適当な受けがなく後手勝ちになる。が、田口は△4二同金と金を取ってしまう。これでも後手勝勢には変わりないが、▲4三歩成とされると後手玉に王手がかかる形になってしまい、早指しなので大逆転しかねない危険な手だったように思う。
ただ、本譜は▲5一角と、仮に▲4二角成となったとき馬の効きで受けようという攻防手だが、△3三桂が好手で後手の勝ちとなった。
・・・改めて自身の棋譜を見てみると終盤危なっかしくて見てられないが、中盤で相手のミスがあってからは一度も逆転されずに勝てたのは良かった。2連敗した相手に何としても勝とうと激指先生と検討した成果が出て嬉しい一局だった。