2月8日の将棋

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図1:対4→3戦法 26手目の局面

今回も田口が先手で居飛車を選択。一方、後手は4手目で4二飛と四間に振ってから三間に振り直す「4→3戦法」と呼ばれる戦法である。この戦法は後手番でも石田流の形に組めるというメリットがあるが、現在プロ間では先手での石田流も勝率が低いので後手番でさらに手損して組む4→3戦法を採用する棋士は少ない。

なので、プロ棋士の棋譜を追っかけまくってる田口からするとまるで興味が湧かない戦法なので定跡を知らないのだが、アマチュア間ではまだまだ人気のある戦法である。図の局面では例えば▲8八玉と寄ると△2四歩と仕掛けられる危険性がある。飛車交換になると後手陣は飛車打ちの隙がない。簡単に有効な仕掛けが成立するところが4→3戦法のアマチュアにも人気がある理由の一つである。

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図2:35手目 先手駒組み失敗の図

図1から数手は激指先生激おこの手順で、1筋の端歩の交換をもっと早く入れるべきであったことや▲5六歩を突くべきではなかったことを教わった。後手はここからいきなり△2五桂という手が成立する。▲同飛に△1四角で飛車が逃げると銀が取られてしまう!

しかし後手はここで△1四角と先に角を打ってきた。これは緩手で▲5五歩として△2五角には▲5六銀と中央に逃げ飛車にプレッシャーをかければ良かったのだが、そんな手は一切見えておらず▲5八銀としたがこれが悪手。まだ▲3八銀の方が優ったようだ。

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図3:41手目 先手不利の図

図3の局面では激指先生はっきり後手良しとのことである。先手の▲3六歩という手に対して△同角ならば後手が相当良かったように思う。飛車交換後の△2八飛が強烈すぎるのだ。しかし、後手はなんと△同歩で取ってしまう。▲3五角を見落とした完全なる悪手で後手有利から先手ペースの将棋に戻った。30秒の早指し将棋なので仕方ないとも言えるが。

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図4:94手目 純粋王手銀取りを掛けられる図

先手ペースになったもののお互い攻めた側がミスを連発するという泥仕合になり後手有利になってしまう。しかも図4では王手銀取りをうっかりするという大ポカをしでかし、後手優勢である。以下▲7七銀△5六馬▲5七金(▲6六金の方が優る)と苦心の受けが続く。

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図5:111手目 相変わらず後手優勢の図

図4の後、後手にミスがあり、窮地は逃れたものの依然後手がかなり優勢に違いはない。なんとか逆転の緒を掴むべく▲4五歩という手を放った。狙いは▲3四桂、△同歩、▲2八角の王手飛車だ。後手はそれを防ぐために△6四歩と受けたが、構わず▲2八角とした。後手は△6九飛成が最善で私もそれを読んでいたが、△2九飛成と角に当てて攻めを催促してきたがこれは小ミスで、差が少し縮まった。

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図6:137手目 先手逆転し勝勢の図

先手は不利ではあったが、それは後手が正確に受けることができたならばの話で、激指の受けの順を見ると、確かにプロの将棋では終盤によく見る手筋ではあるがアマチュアでは指せないような受けの妙手を連発していた。かなり正確な受けの技術が必要であることを考えると△2九飛成の時点でアマチュア的には逆転していたと言えるかもしれない。

後手の敗着は△6五桂で、図6では龍を取っている暇はないが、銀を取って王手を掛けても▲同龍でむしろ玉が堅くなっている。

酷い序盤から酷い中盤で圧倒的に苦しい将棋だったが、終盤で逆転できたのは嬉しかったが、あまりに課題の多い将棋だったので大いに反省したい。

 

「2月8日の将棋」への1件のフィードバック

  1. A級順位戦最終局で久保九段が4→3戦法を採用して69手で渡辺二冠に負かされてましたね。やっぱり4→3戦法は厳しいかなと思いました。
    棋譜
    上げておきますね。

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