今の横浜DeNAベイスターズはメジャーリーグの新しい戦略・技術を柔軟に取り入れて新しい球団へと生まれ変わろうとしている。もし当ブログで野球について勉強する機会を作っていなかったならば「なんか今年はベイスターズ強いな!」くらいにしか思わなかっただろう。現代野球について知れば知るほど、これからベイスターズはどんなチームへと進化するのかというこのワクワク感は深まる一方である。
過去3回の投稿では、打撃、投球、守備の3つの指標について勉強してきた。今回はそれらを全てひっくるめた指標であるWAR(Wins Above Replacement)という指標について勉強する。
WARとはWins Above Replacement、つまり「代わりの選手に比べて何勝上積みしたか」という指標である。
この言い方だとちょっとわかりにくいが、少しずつ言葉の意味を調べてみよう。代わりの選手というのは、そのリーグの平均より下の大体1.5軍レベルの選手のこと(本当はもっと複雑だがどうせ素人に計算できるようなものでもなさそうなのでこの程度の認識で良さそう)。何勝上積みかというのは代わりの選手に比べて、打撃と走塁で加えた得点と投球と守備で防いだ失点の合計1勝分の勝ちがあるとされる得点で割った数値である。
かなり難しい説明になってしまったが、要は投手野手関係なく「チームに何勝分貢献したか」を示す指標である。
この指標のメリットは投手野手関係なく一緒くたに評価出来てしまうところである。とりあえず、デルタ社が算出した去年のNPBのWARランキングを見てみよう。
2015年 WARランキング | |
1位 | 山田哲人 12.9 |
2位 | 柳田悠岐 10.1 |
3位 | 秋山翔吾 8.1 |
4位 | 坂本勇人 7.5 |
5位 | 前田健太 7.0 |
「えっ、坂本がマエケンより上?!」と思う人も多いかもしれないが、2013年の24勝0敗1セーブを記録した田中将大投手でさえWARは8.3と意外と低い。1試合単位で見ると投手が一番重要なポジションだが、野手は毎日試合に出るのに対し、投手は週1ペースなので案外そんなものらしいのだ。(個人的な感想だが、去年のヤクルトは76勝65敗で優勝だったことを踏まえると山田哲人がいなかったらCSすら怪しかった計算になることに衝撃)
また、過去のランキングを見ると、キャッチャー、ショート、セカンド、センターの守備に付いている選手が多い。いわゆる「センターライン」と呼ばれる、守備が上手い選手を置くことが多いポジションだが、WARの指標を信用する限りだと、この守備位置に良い選手をおくことでチームの勝ち星の数は大きく変わることになりそうだ。
このWARという指標はまだまだ発展途上で、メジャーではWARを算出しているサイトが2つあるが算出方法が異なる。そのため同じ選手なのに大きく異なる数字が出てくるケースもある。まだまだ完全に信頼しきって良い指標ではなさそうだが、大まかな目安程度に見るには面白い指標だと思う。
・・・勉強すればするほど野球の奥深さを思い知るばかりである。次回の投稿ではもう少しバドミントンにも絡めた話をしてみたい。