図1:23手目の局面
先手が田口である。ここで後手は△4五歩という驚愕の一手を放ってきた。なぜ驚愕かというと、▲3三角成△同桂▲5三角と応じて後手はここで角成を受けることができないからだ。本譜も当然そう進んだ。
しかし、激指13(コンピュータソフト)に解析させると、馬を作った局面でも先手が少し良いくらいでまだ互角という評価である。私もこの局面で馬を作ってもちゃんと活かせるかどうかがこの勝負の肝になると考えていた。
図2:37手目の局面
後手は1筋の歩を突き越したが、狙いがなく、はっきり言って2手パスのような手である。その間に私は6筋の位を取り、位を取ったら位の確保という格言に則り6六銀と上がった。これでも先手有利にはなっているが6筋の位を取らず穴熊に組んだ方がさらに優ったと思う。
この後、後手が4三金という手を指された。すぐの狙いは無いが、後手の左桂の桂頭をカバーする意味合いだろうと思われる。
桂頭をカバーしたことで3五歩と指されるのを警戒して3六歩と指したが、警戒しすぎだったかもしれない。より玉頭の厚みを築く指し方や穴熊にする方が勝ったようだ。
図3:後手の勝負手△5三角
このまま馬が威張って玉頭に厚みを築ければ先手が有利になる。そのため後手は馬を消しにきた。ここで角交換になってしまうと先手は右辺がスカスカで、逆に馬をつくられてしまい、こちらは馬が作れない。
ここで▲7五歩と玉の厚みを築く指し方や、▲7七馬、▲5九馬なら先手有利を保てた。しかし私の指した手は▲6八馬・・・
後手は6筋の位を消すべく△6四歩と指された。この時馬を引く位置が7七なら▲5五歩、5九なら▲3七馬と指して優位を保てた。しかし、6八馬でも互角になっただけで、実戦的には馬を作れているメリットは大きい。
図4:後手無理やり1筋突き越しを活かす
▲6八馬というミスは出たものの、その後は激指先生もニッコリの手順で先手の私が優勢を築く。後手は1筋から攻めてきたが玉から遠いので響かない。後手は6筋の位を消しに行くべきだった。逆に先手としては、やはり馬ができているので指し手がわかりやすい。
図4の局面で△1八歩成が気になってしまったが、▲同香、△同香成、▲同飛で問題ないので、▲6三歩成、△同銀右、▲6四桂という強烈な攻めがあったようだ。この攻め筋は流石の激指先生である。
私は▲3五歩という緩手を指してしまうが、後手も△1八歩成と来てくれたので▲2六飛(▲3五歩の効果)、△1五歩(まだ△1一飛の方が勝るか)、4六飛という狙い筋にハマってくれた。
図5:先手勝勢
この局面で指してる当人は駒得だから若干こちらの方が良さそう、くらいに思っていたが、激指先生は先手勝勢という評価だった。まだ後手玉は4枚で囲っている上こちらの玉形は金銀バラバラなので難しいところもあるかと思っていたが、杞憂だったようだ。盤面の評価を正しくできるようになるのが今後の課題である。
以下▲4三馬とバッサリ切って、△同銀に▲5三歩成が「5三のと金に負けはなし」の格言に則った好手だったようでそのまま勝勢を維持して勝ち切ることができた。